仕事と人

ITの視点からみるJPXの未来

いまや経済やビジネスにとっても欠かせない存在となったIT。JPXが取り組む新しいチャレンジにおいて、ITはどのような役割を担い、IT系人材はいかに活躍しているのか?3人の社員が集まり、JPXの現在、そして未来を、ITの視点から語り合いました。

PROFILE

清水 翔太朗

JPX総研 IT開発部情報システム担当
経済学部卒
2012年入社

相馬 里奈

大阪取引所 IT開発部デリバティブシステム担当
先進理工学研究科修了
2018年入社

命苫 昭平

JPX総研 フロンティア戦略部
法学部卒
2012年入社

ITの力で社会を前進させていく仕事に挑む

清水私と命苫さんは文系出身で入社11年目の同期ですが、相馬さんは理系出身で入社5年目ですね。最近はJPXでも理系出身の新入社員が増えているように感じます。

相馬そうかもしれませんね。私の同期では約3分の1が理系出身です。 清水さんと命苫さんの2人は文系出身ということですが、現在ではJPXの中でもIT系のエキスパートという存在。どのようなキャリアを積まれてこられたのでしょうか?

命苫私の場合、学生時代のリテラシーはWordやExcelくらいしか使ったことがない感じでしたが、ITについては別に苦手意識はなかったですね。入社後は、当時の派生商品部(現・市場管理部取引管理室)にて業務マクロを作成・メンテナンスする際にコーディング等の基礎を学び、3年目ではITサービス部に異動し、システム関連の基礎的な知識とスキルを身につけました。自分の中で転機になったのは入社9年目。プライベートで夜間に社会人大学院に通い、本格的なコーディングや人工知能を学んだのです。その後はフィンティック関連の企画などに携わっています。

清水私も学生時代から自分にとって未知のチャレンジングな仕事をしてみたいと思っていたので、前提知識がなかったITについても前向きでした。入社2年目でIT開発部清算システムに異動し、プロジェクトの進め方や基本的なシステム関連の知識とスキルを身につけました。そこで6年半在籍した後、大手ITベンダーに出向しました。これまでと180度違う視点からITに関わった経験が、現在の仕事に生きていると感じます。 ところで、相馬さんはどのような理由でJPXに入社したのですか?

相馬私は学生時代の専攻は化学でしたので、専攻を生かして就職活動をしていました。一方で、将来性の高さからIT系の分野にも着目しており、就職するタイミングがITに関われる良い機会だとも考えていました。中でもJPXを志望した理由は、社会的にもインパクトが大きい巨大なシステムに携われること。また文系や理系、その専攻に関わらず採用しているJPXの多様性を受け入れる雰囲気を感じたことも決め手になりました。 もともとの専攻での専門知識を業務で直接生かす機会はありませんが、学生時代の研究で身に着けた論理的な考え方や物事へのアプローチの仕方などは、現在の業務に役立っています。

これまでのJPXの枠を超えて

清水ここ2、3年でJPXにおけるITの位置づけが大きく変化しているように感じます。これまでは、どちらかというと開発は外部のITベンダーに頼る部分が多かった。それが最近では、企画や開発のステップから自分たちでノウハウを蓄積し、従来のJPXの枠組みを超えたビジネスを創出しようとしています。

相馬その変化を牽引するのが、現在2人が所属するJPX総研ですね。

命苫JPX総研には大きく2つの性格があると思います。1つは取引所のインフラとしての責務を果たし続けるため、システムやネットワークの基盤を支える「守り」。もう1つが、JPXのデータ・デジタル事業を集約して、そこから新しいビジネスにチャレンジしていこうという「攻め」。私がいるフロンティア戦略部では、この「攻め」の役割を主に担っています。

相馬命苫さんが取り組んでいる「J-Quants API」は社内でも注目のプロジェクトですよね。私もYouTubeなどでチェックしています。

命苫「J-Quants API」は、JPXが持つ株価などの金融データを簡単に取得できるAPIサービスです。従来のような証券会社や機関投資家ではなく、個人投資家を対象としており、その点でもJPXとして非常にチャレンジングなサービスだと思います。

清水いま命苫さんが話した「守り」の役割を主に担っているのが、私が所属するIT開発情報システム部です。ただ「守り」の役割だけでなく、「攻め」の役割についても担っており、私自身は社内でまだ活用されてないデータに着目した利活用に注力しています。例えば、証券会社やシステム利用者を対象としたアンケート結果に対して、テキストマイニングを用いて分析し、結果の活用方法を業務部署と協力して検討する取り組みをしています。 相馬さんは現在、大阪取引所のデリバティブシステムを担当しているのですよね。

相馬ええ。保守運用やシステムの新規開発などに携わっていまして入社以来ずっと担当していることもあり、年々任される仕事の範囲が広がっているように感じます。若手の裁量が大きい部分もJPXの大きな特徴なのでしょうね。入社3年目には、新規に導入する機能についてリーダーを任されました。また先月は、海外ベンダーとの打ち合わせでスウェーデンに出張し、先方との交渉で前面に立つこともありました。大きな仕事を任されるのは嬉しいですが、年次に対して少し無茶ぶりと感じます…。

命苫なるほど(笑)。それは、相馬さんがそれだけ上司から信頼されている証拠だと思いますよ。

新しい変化にチャレンジする意志が感じられる

命苫私と清水さんは、所属部署は異なりますが、「DigiMa Lab」と呼んでいる部門横断的なチームで一緒に仕事をしています。これもJPXの新しいチャレンジの1つです。

清水この「DigiMa Lab」の目的は、JPXとしてのシステム開発力を高めていこうということ。さらにもう1つ、これは私の部署にあるソリューションデザインチームとも関連するのですが、JPX内の課題解決に向けてDXのような大きな枠組みの中でチャレンジしていこうというものです。

相馬そういった改革は、各部署でも最近活発ですよね。私のいるIT開発部でも、自分たちでPythonを用いてプログラミングをして、システムのテストなどの工程を自動化しています。そして自動化して出来た時間を、もっと企画や開発の領域に力を注いでいこうと動いています。

命苫JPXとしても、開発手法にアジャイルを取り入れたり、システムをクラウドにシフトしたり、新しい技術に対して積極的ですよね。さらに最近では、ブロックチェーンやセキュリティトークンなどの研究も進め、これらの先進技術を融合させたデジタル証券市場の創設に向け検討を進めています。

JPX × ITの可能性は無限に広がる

命苫先ほど清水さんがテキストマイニングの開発の話をしていましたが、JPXではこうした最新のシステムを開発するだけでなく、そこから得た情報を使ってビジネスそのものを創出するチャンスがあります。これはJPXでITに関わるうえでとても大きな魅力だと思います。

清水しかもわが国の金融・経済のインフラを担うJPXのもとには、膨大で多彩なデータが集まってきます。これらの情報とJPXが持つ技術力を掛け合わせることによって、ビジネス創出の可能性を大きくすることができると考えています。

相馬最初に話したとおり、そのようなスケールの大きな開発に携われることが、私がJPXに入社した一番の動機です。ですが、それでいて会社の規模も決して大きくはない分、小回りがきき、行動力があると思っています。特に最近では新しい変革に挑んでいこうという雰囲気がますます高まっているように感じます。

命苫経済のインフラを支えているだけに注目度も高い。JPXが新しいシステムを開発すれば、必ずといってよいほどニュースになりますよね。日本の社会に、さらには世界に向けてインパクトのある開発に携われることは、JPXならではの大きなやりがいだと思います。

相馬最後にもう1つ、JPXの魅力をあげるとするならば、多様な働き方ができること。チームで協力をしあいながら、テレワークやフレックスタイムなどの制度を利用したり、また、最近では女性ばかりでなく、男性でも育休をとったりする社員が増えてきたように感じます。こういった制度を利用する際は普段からチームに貢献することが重要だと思いますが、前向きに長く働いていくためには、このような柔軟な働き方も大切だと思いますね。