仕事と人

Interview

社員の想い

01

国内唯一のデリバティブ取引システム開発。
量をこなして
世界の取引所と戦う力を養う。

IT開発部デリバティブシステム
システム情報工学研究科修了
2007年入社

現在の仕事

デリバリティブ取引システム開発の基盤担当として、超高速かつ安定したシステムの開発を進めています。国内外の数多くの関係者と協力して技術的課題を解決し、異なる立場から交差する意見・価値観のなかから最適解を探し出すことで、インフラの中のインフラを作り、支えるという仕事です。ITはグループ全体の競争力の源泉であり武器です。ITロードマップにおいても、着実な推進を求められる領域と、変化にいち早く対応する領域の双方で具体的な施策を背負っており、マーケットインフラを攻守両面で支えることがミッションとなっています。なかでも次世代デリバティブシステムの構築は、中期経営計画の重点戦略に掲げられており、その責任は重大です。

JPXへの入社動機を教えてください。

大学時代はリスク工学を学び大規模災害やサイバーセキュリティなど各種リスクを評価・分析する方法について研究していました。こうしたリスク分析やITに関する手法・知見はさまざまな業界で活用されています。金融業界が扱うモノは情報であり、ITつまり情報技術との親和性が高いと考え、各種金融機関の説明会にも参加しました。そうしたなかでとりわけ興味を惹かれたのがJPXです。公益性の高い取引所のシステムに関わることができるのは日本ではここだけですし、当時、東証はシステム障害3連発を起こし世間から厳しい眼を向けられていたことも私にはチャンスに思えました。今後いっそうIT部門の強化に力を入れるならば、若くても責任とやりがいのある仕事を任せてもらえ、ITを使った社会貢献ができると考えたのです。

狙い通り、入社後は責任とやりがいのある仕事を任せてもらえましたか?

もちろんです。入社後はIT開発部に配属され、当時開発中だった株式売買システム「arrowhead」の初期開発に参加しました。私は主に取引エンジンである媒介機能を担当しました。キャリアのスタート時に、大規模なシステム開発の全体像を把握できたことはとても大きな経験になりました。その後2010年からは市場企画部で、デリバティブ市場の企画、制度立案に携わりました。市場企画部では欧州の取引所との協業ビジネスをローンチすべく奔走しているかたわらで、デリバティブ市場振興のために「ゆるキャラ」の公募を行うなど、硬軟織り交ぜた幅広い仕事を同時進行で進めていました。また2014年から2016年にかけては、IT推進室(当時)においてデリバティブ取引システム「J-GATE」の開発プロジェクトに従事し、リスク管理機能の導入を主導しました。入社間もないころから責任とやりがいのある仕事を任せてもらえたと断言できます。

これまででもっとも印象に残っている仕事は?

市場企画部に在籍していた頃、欧州の取引所と折衝して移管取引制度を構築しました。これは海外取引所で行われた先物取引について、建玉明細を受領し、その内容の整合性を確認、承認することで移管取引を成立させるもので、時差のある欧州取引所と協業することに大きな意味があります。問題は、当時私はほとんど英語が話せなかったこと。急ぎ英会話教室に通ってはみたものの、付け焼刃では焼け石に水。日本の担当は私ひとりなので、毎週の電話会議は度胸で乗り切りました。できないなりにやればなんとかなるものです。その場でわからなければ、後でメールで回答すればいいし、多少発音が悪くてもネイティブ側がくみ取ってくれます。この案件は欧州取引所とのやりとりから金融庁との折衝、マニュアルの作成まで、時に周囲の協力を仰ぎつつ、すべて責任を持って取り仕切りました。小さな案件ながら、ひとつの仕事の全体を体験できたこと、やればなんとかなるという自信を得たという点でとても思い出深いものになりました。

仕事における流儀を教えてください。

仕事はやらない限り覚えられません。とにかくある程度の量をこなすことが大事です。私がそうした考えを持つようになったのは、新人の頃からお世話になっているある上司の影響です。その上司は前向きな姿勢と存在感から“ラージヒル”と呼ばれており、とにかく何でも手を挙げて自分の、あるいはチームの仕事にしてしまう。面白そうなことは自分でやってみたいというタイプでした。部下としては「そんなに受けなくても」とも思いましたが、いま振り返ると、多くの仕事をこなしたことがいまの私の基盤になっていると感じます。取引所の業務は、多くの部門やステークホルダーと調整しつつ進めることが多く、より多くの仕事をこなすことで知見も人脈も広がります。それを体験しているからこそ、英会話が苦手でも欧州取引所との折衝に臆することなく臨めたのでしょう。「とにかくやってみる」は、ラージヒルから受け継いだ、もはや私のスタイルでもあります。

今後のビジョンについて、どのようにお考えでしょう。

デリバティブ取引は変化する社会でリスク移転機能を果たしており、世界の金融に不可欠なものです。その意味で、世界の投資家から集まる注文を日夜処理する、ミッションクリティカルな取引システムを開発・維持していくことは、社会をより便利でより豊かに形作ってゆくことにつながると自負しています。ライバルとなる世界の取引所と戦うには、後追いではないJPX発のシステムを開発していくことが重要です。そのためにまず語学力や折衝力も含めた個のレベルアップが不可欠だと感じています。一方で、世界との競争力を高めるには自分の力に加えて、組織というレバレッジを効かせ、チームの総合力を高めるリーダーシップを磨くことも重要でしょう。個の力の向上とチームを活かすマネジメント力。その二つを同時に追い続けることが、私の今後の課題です。

Career Step

キャリアステップ

2007-1年目
IT開発部に配属。株式売買システムarrowheadの初期開発で取引エンジンである媒介機能を中心に担当。
2010-4年目
派生商品部総務企画グループ(当時)に異動。JPXに統合後は市場企画部において、デリバティブ市場の企画や制度立案を担当。
2014-8年目
IT推進室(当時)においてデリバティブ取引システム“J-GATE”の開発プロジェクトに従事し、リスク管理機能の導入を主導。
2016-10年目
“J-GATE”稼動を機に同部門内における基盤担当となり、性能やキャパシティ等を向上させるルール作りを含めた実験型開発を推進。