仕事と人

Interview

社員の想い

03

総合取引所の開設・発展に向けて、
デリバティブ市場の
制度立案に奔走。

市場企画部
新領域創成化学研究科修了
2006年入社

現在の仕事

市場企画部では、デリバティブ市場に関わる制度立案を行っています。デリバティブ市場はJPXの取引関連収益の一部を担っており、国内外の投資家にとって利便性の高いデリバティブ市場を提供できるよう、利用者の声を踏まえつつ、新商品の検討や市場制度設計等を行っています。現在は2019年に経営統合した東京商品取引所からの商品移管、制度設計が大きなテーマになっており、中期経営計画の重点戦略のひとつでもある総合取引所の実現とその発展に向け、コモディティ・デリバティブ市場統合のための、制度策定や市場運営に向けた運用の構築が急務となっています。ステークホルダーも拡大し、多様な取引ニーズを踏まえた制度設計は新たな経験であり、これまでと異なる見方が必要となるため、勉強の日々を過ごしています。

入社後、印象に残っている仕事について教えてください。

私が最初にコモディティ・デリバティブ(商品先物取引)に関わったのは、2009年の金融商品取引法改正時でした。この改正では金融商品取引所と商品取引所の相互乗入れを可能とするための制度改正が図られ、JPXでもこれまで取扱えなかったコモディティ・デリバティブ市場をどうビジネスチャンスに繋げていくのかという観点から、各種の調査活動を行いました。私も世界各国の投資家の方々と話し合う機会に恵まれ、海外投資家から見た日本市場への期待や立場を改めて考える機会になりました。このときは具体的な動きには結びつきませんでしたが、現在の仕事は一度中断した総合取引所の実現であり、私にとって欠けていたピースをはめるような思い入れがあります。

東京商品取引所との経営統合は、社会にどのようなメリットを生むのでしょう?

現在、先物取引には金利先物取引や債券先物取引、株価指数先物取引といった金融先物取引と、貴金属や農作物、電力などのコモディティ(商品)を対象とした商品先物取引などがあります。これまで日本取引所グループが金融先物取引の、東京商品取引所が商品先物取引のマーケットを提供していました。しかし、世界の取引所ではその両方を取引できることがスタンダードであり、日本でも総合取引所の実現が長く切望されていました。本来、デリバティブは各種リスクヘッジの手段として活用されるもので、利用者にとって市場が分かれていること自体が大きなデメリットでした。東京商品取引所との経営統合により実現する総合取引所が金融商品・コモディティを横断的に取り扱うことによって、世界の投資家にとっての取引の利便性が向上し、デリバティブ市場が大きく発展することが期待されています。

総合取引所の実現・発展に向けて現在挑戦していることは?

まずは商品移管に伴う制度設計です。2019年10月の経営統合により東京商品取引所で行われていた商品先物のうち、石油と電力を除く、貴金属、ゴム、農作物を2020年7月に大阪取引所に移管します。その際、投資家の利便性を考えると、取引や決済のルールを統一することが必要です。商品先物は商品現物の受渡を前提となります。商品現物による決済は現物を調達する必要もありますし、その過程で破損することもあります。こうした商品取引の特性も考えながら、どのような制度にするのがベストなのかを考えています。また、先物取引業者も様々な対応が必要となり、利用者がスムーズに総合取引所へ移行できるよう、きめ細やかな情報提供を行うなど、サポートすることも重要なミッションです。

仕事のおもしろさ、大変さをお聞かせください。

市場運営の仕事は社会的に見ると地味かもしれませんが、直接市場に関わるプレイヤーだけではなく、たとえば投資信託購入者といった間接的に関わる人まで含めると、ステークホルダーは膨大なものになります。その意味で市場は社会インフラそのものです。投資家にとって魅力ある市場設計と、安定かつ信頼性の高い市場の運営は、効率的な資産運用に不可欠なものであり、そこに関われることは大きな喜びです。一方、総合取引所での取引開始は2020年7月と決定しており、やるべき課題を1年3ヶ月で解決していくスケジュールはきわめてタイトです。短期間で達成しなければ市場が縮小してしまう可能性を念頭に、問題が発生した際にはその都度短時間で意思決定をしていかなくてはなりません。結果が見えるのはまだ先ですが、さまざま可能性を考慮しつつ緊張感をもって業務にあたっています。

将来のビジョンについてはどのようにお考えでしょうか。

私は入社以来、売買管理、営業、企画と一貫してマーケットに近い分野で仕事をしてきました。その間、結婚して3人の子どもにも恵まれ、出産・育児休暇をはさみながらキャリアを積み重ねてきました。しかし、JPXには私が経験していない仕事がまだまだあります。現在は総合取引所の開設・発展に向けて奔走する日々を送っていますが、今後はマーケットに限らず、さまざまな部門を経験し、日本市場の更なる利便性向上に向け、多くの役割を果たせるようになりたいと思っています。

Career Step

キャリアステップ

2006-1年目
東京証券取引所派生商品部に配属。債券デリバティブ市場の売買監視に従事。
2008-3年目
派生商品部新商品推進室に異動。コモディティ、不動産など新商品開発や、デリバティブ市場の制度改正などを担当。
2014-9年目
マーケット営業部に異動。証券会社をはじめとする顧客からの金融商品や指数に関する要望に対応。
2016-11年目
デリバティブ市場営業部に異動。機関投資家などに対してデリバティブ市場活性化に向けた各種提案活動。
2018-13年目
市場企画部に異動。東京商品取引所との経営統合に向けて商品移管、統一制度制定などに奔走中。
※2011年、2014年、2016年に出産・育児休暇を取得。